当院の歯周病治療の方針
ベーシックな治療を丁寧に
歯周病は20世紀半ばまで、一度発症したら治ることのない不治の病だと言われていましたが、歯周病の原因が徐々に判明するに伴って、今日まで用いられている確実で合理的な歯周治療が確立されました。
十日市場駅前なついろ歯科では、歯周治療において、この確立されたベーシックな治療を行なっております。エビデンスがあり、基本に忠実な歯周病治療を丁寧にすることを心がけておりますので、歯周病でお悩みの方も安心してお任せください。
多方面からのアプローチ
歯周病の原因は、決して一つだけではありません。様々な因子が積み重なることで発症する歯周病は、全ての症例に対し同じアプローチ法で治療をしても、すぐに再発してしまいます。
このことから、当院では歯周病の根本的な治療のため、矯正治療や補綴治療など、患者様ごとにリスクを特定し、様々な方面からのアプローチを行なっております。
メインテナンスを重視
歯周病は、非常に再発しやすい疾患です。これは、歯周病の主な原因である細菌がお口に常在し、プラークを作り出してまた炎症を起こす機会をうかがっているためです。しかし、自宅でのセルフケアで、全てのプラークを完璧に除去するのは困難であり、歯科医院でのプロフェッショナルケアが必要不可欠といえます。
このことから当院では、歯周病の治療終了後に定期的なメインテナンスでのご来院をお願いしております。(来院頻度はリスクの高さによって、1〜6か月と異なります。)
歯周病とは
歯を失う原因1位の疾患
平成28年に行われた、公益財団法人8020推進財団による永久歯の抜歯原因調査では、歯周病が抜歯原因の第一位であることが分かりました。歯周病は虫歯のように、強く痛みが出るなどの自覚症状が乏しいため、知らぬまま重度まで進行し、抜歯となってしまうケースも少なくないのです。
このような症状があります
歯周病は自覚症状の乏しい歯科疾患ではありますが、進行のサインが現れないというわけではありません。例えば、
- 歯ぐきが赤く、腫れている
- 歯磨きの時、歯ぐきからの出血が頻繁にある
- 歯が長くなった(歯ぐきが下がった)
- 歯に浮いたような違和感がある
- 歯が揺れている
- 口臭が以前より酷くなった…等
上記の症状全てが歯周病の症状であるわけではありませんが、これらに一つでも当てはまる場合には、歯科医院での歯周病のチェックをおすすめいたします。
歯周病の原因となるもの
歯周病の直接の原因は細菌の塊であるプラークですが、進行に影響を及ぼす間接的な
因子には、以下のものが挙げられます。
- 口呼吸
- 歯並びや咬み合わせ
- 不適合の補綴物(詰め物や被せ物)
- 喫煙
- 虫歯
- ストレス…等
歯周病の治療では、患者様ごとにどの因子の影響が大きいかを判断し、リスクを低下させながら進めていくことが重要です。
歯周病と全身の関わり
近年、歯周病は全身と大きな関わりがあることがわかってきました。現在は歯周疾患と全身疾患の関連に関わる学問を「歯周医学」と称し、世界各国で研究が行われています。
例えば、歯周病に罹患して産生される分泌物が、血流に乗ることで起こる「早産・低体重児の出産」や、血糖値のコントロールに悪影響を及ぼす「糖尿病」、細菌を誤嚥することで起こる高齢者の「誤嚥性肺炎」など、多くの疾患や全身状態にも関連があります。
歯周病治療
ポケット検査
歯周病治療には、治療前から治療中、また治療後にもこのポケット検査が欠かせません。ポケット検査では、歯と歯ぐきの溝にできた歯周ポケットの深さを測定し、進行や炎症の程度を確認します。
通常健康な深さは2〜3mmですが、歯周病が進行し重度になると、6mm〜8mmもの深さになり、治療における重要な指標となります。
歯磨き指導
歯周病は歯科医院内での処置だけでは治すことができず、何よりも患者様のご協力が必要です。歯磨きや歯間ブラシなどのセルフケアは、歯周病治療を大きく左右し、これによって治療期間も変わります。
当院では、歯周病治療が終わった後も、患者様がご自身で健康な状態を維持できるように、歯磨き指導に重きを置いています。「歯間ブラシとフロスどっちを使えばいいか分からない」「歯ブラシの硬さや大きさがあっているか不安」など、普段セルフケアの中で気になっていることがあれば、どんなことでも遠慮なくお聞きください。
SRP(歯ぐき内部の歯石とり)
SRPは、歯周病によって生じた歯と歯ぐきの隙間である「歯周ポケット」の中に存在する、歯石やプラーク、汚染された歯質を除去する歯周病の基本治療です。
このSRPで歯を滑沢にすることで、プラークの再付着を防ぐことができます。処置には専用の器具「スケーラー」を使用し、痛みは感じないことがほとんどです。
歯周外科治療
SRPや歯磨き指導などの基本治療後に、改善が見られず深い歯周ポケットがある場合には、「フラップ手術」などの歯周外科治療を行う場合があります。
フラップ手術では、歯ぐきを一時的にめくり、歯の根っこを露出させることで、SRPでは除去しきれなかった歯石や、炎症組織を確実に取り除く処置が可能となります。
矯正治療
歯並びや咬み合わせが悪いことで、歯周病が発症、悪化しているケースでは、歯周病治療のための矯正治療をご提案することもございます。
ただし、歯周病の治療中のどの時期に行うかは、骨や歯周ポケットの状態を見て充分に検討する必要がありますので、矯正の専門医と連携をとり状態を見極めてから矯正治療をスタートします。、詳しくは矯正治療についてページをご覧ください。
補綴治療(詰め物・被せ物)
本来補綴物は歯ぐきとの段差がなく、天然の歯と同じように灘らかでなければいけません。しかし、段差のあるような不適合の補綴物は、この段差部分にプラークが蓄積しやすく、歯周病の進行を手助けする因子となってしまいます。
このことから、不適合とされる補綴物は歯周病治療においては取り除くことが推奨されるため、一時的に削って調整したり、仮歯にして作り直すまでの応急処置を行います。
歯周病は進行によって歯ぐきの位置が変わることが多いため、治療終了後に本物の被せ物を入れるのが理想的です。補綴物については、詳しくはこちらのページもご覧ください